#7

 

 

 

僕はよくラジオを聴くのです。

小さい頃、母がラジオ好きで、料理をしながら、片付けをしながら常にラジオを聴いていたのを覚えています。

小学生の頃、母の誕生日にお風呂で聴ける防水のラジオを選び、パトロン(父)に出資してもらいプレゼントしてからは、お風呂でも聴いていました。

僕は幼心に「なんでラジオなんて聴いているのだろう。TVの方が絶対楽しいのに」なんて思っていました。

ラジオってなんだか「お年寄りが聴くもの」と言う勝手なイメージがあったのですよ。

多分その原因は地元にある、土地の安さを最大限に生かした巨大な公園があったのですが、そこにあったボロボロのゴーカート場です。

町営のゴーカート場でおじいさんが一人で管理人をやっていたのですが、ゴーカート場中のスピーカーというスピーカーから爆音でAMラジオを流していたのがすごく印象に残っています。

古いゴーカートでそもそもスピードも出ず、何故か場内には異常な数の信号機が設置されており、信号無視をするとおじいさんに激しく怒られるので10mおきくらいに停止して、今思えば何が楽しかったのか謎ですが、子供には十分魅力的な遊びであったのでしょう。

そんなしょぼゴーカートですが、F1のテーマ曲をかけるだとかせめて雰囲気だけでも作って欲しかったものです。ティーリティーリティーリティーリリリってやつね。それが爆音のAMラジオですからね。

多分これで「ラジオって古臭くておじいさんが聴くもの」と僕の中でなってしまっていたのでしょう。

愚かでした。愚かなガキでした。

関係ないけど、幼稚園児の時にその公園でウサギに餌をあげていて、餌ごと指の第2関節くらいまで齧られたり、まだ遊び足りないのに父に「もう帰るぞ」と言われ抵抗のつもりで「全然楽しくなかった」と悪態をつき、たまの日曜の家族サービスを無下にされブチ切れた父に公園に置き去りにされた事なんかを思い出しました。

話が逸れました。

そんな僕も気がつけばラジオを聴くようになっていました。

遺伝でしょうか。母の母、つまり僕の祖母もラジオをよく聴いていたそうなので遺伝なのかもしれません。ただの刷り込みでしょうか。

 

僕の場合は「よく聴く」なんて言いましたが、母や祖母のように常にラジオのスイッチをオンにしているわけではありません。

最近は大体、毎週決まったお気に入りの2時間番組6-7本と30分番組2本を録音してランニング中や料理中なんかに聴いています。

芸人さんがやっている番組ばかり聴いているのですが、TVではしないような話とかも聴けて面白いのですよ。

ただ、面白トークを聴きながらのランニングは危険で、長髪メガネが青白い顔でニヤニヤしながら夜道を駆けてゆくのはざらで、突然ブヒュウウウッ吹き出したり、ハアアアンッッッ!!!と大声で叫んだりしているのです。これは声を出して笑いそうになって慌てて堪えるもほぼ出ちゃったパターンですね。

周りのランナー達から非常に不審な目で見られます。

 

こんな感じで毎日ラジオを楽しんでいるわけですが、僕がラジオを聴き始めたのは18歳の時でした。

その時僕は大学浪人で予備校に通っていました。TVがあるとどうしても観てしまい、勉強に身が入らないと考え、TV本体はあったのですが受信するためのケーブルを破棄したため観ていませんでした。その代わりとしていつしかラジオを聴き始めたのです。

しかし今思えば当たり前の話ですが、ラジオを聴きながらの勉強も、もちろん身に入る訳がなく、僕が1年経ち19歳になっても予備校の自習室でラジオを聴く事になった原因はまさにこれだったのではないかとの噂もあります。

それで、ここからが今回ラジオについて書こうと思った理由でもあるのですが。

そのラジオ聴き始めの18歳の時に平日の夕方頃にやっていた、頭のおかしい番組についての話です。

おそらく札幌のどこかの小さなラジオ放送局の番組なのですが、その番組の名前もやっていた人の名前も放送局の名前もどうしても思い出すことができず、ネットで検索しようにも検索するワードすら思いつかないのです。

どの様に頭がおかしかったかと言えば、例えばリスナーからの悩み相談に答えるコーナーで、小学生の男の子から「僕は少年野球をやっているのですが、僕のチームでは僕より上手い子が沢山いるのに、何故かその子達ではなく僕がレギュラーで試合に出ています。周りの子達からもなんでお前がレギュラーなんだと言われるし、僕も試合に出てもミスすることが多くて辛いです。どうして僕がレギュラーなのでしょうか」とこんな感じの可愛らしくもおそらく小学生の本人からすればとても深刻な悩みを受けていました。

するとおじさんのパーソナリティーがヘラヘラしながら「それはおそらく君のお母さんと監督が不倫関係にあるんだろうね」と答えるのです。頭がおかしい。

あとは「リスナーからオリジナルソングが送られてきたので、聴いてください。家族みんなで歌ってくれたみたいです」と言い、曲を流し始めるのですが、それがリパブリック讃歌つまりわかりやすく言えばヨドバシカメラのあのCMの曲に合わせて、当時の日本政府を口汚く罵る歌詞を歌った曲なのです。

しかもその歌詞を声からしても明らかにまだ幼い子供に歌わせ、その裏でおそらく母親の物と思われる「アチョー!」という叫び声が聴こえてくるのです。

もう恐怖ですよ。普通ならばそんな物が送られてきたとしても、まず触れてすらいけないし、ましてやそれを公共の電波に乗せて放送するなんてどうかしています。

そして極め付けは、その後ラジオが進行してゆき、普通のラジオの様に「プロの歌手が歌うちゃんとした曲」も流すのですが、おそらく新曲かなんかでプロモーションの為にお願いされてかけている曲で、その曲がサビに入る瞬間にどこからともなくお母さんの「アチョー!」が響き渡るのです。

事もあろうに「アチョー」を勝手にサンプリングし、放送中に別の曲に乗せると言う暴挙に。

その後も曲の間、「アチョアッアッアッアチョアチョアッアッアッアチョアチョーーー!!!」と連打してみたり、裏ではおっさんの笑い声がうっすらと聴こたりと言う地獄の時間が続いたのです。

悪ふざけが過ぎる。頭がおかしい。

 

つまり何が書きたかったかと言えば、「誰かこの番組の名前を知りませんか?」と言う事なのです。

当時も面白いと言うよりも怖いもの見たさ(聴きたさ?)で聴いていたのですが、この歳になってもう一度聴いてみたいと思ったのです。

上に書いたものも正直記憶が曖昧になっている可能性があるので、それも確かめたいなと思います。

もし何か知っていることがあれば教えてください。

 

 

お休みなさい